先日、弊所は、自然人であるクライアントの代理人として商標登録無効審判の審決取消訴訟の二審で勝訴しました。二審裁判所は、一審判決及び中国特許庁による商標登録無効審判の審決を取り消すとともに、原告による無効審判請求に対して改めて審判するよう中国特許庁に命じました。
中国商標法第44条第1項に掲げる「その他の不正手段」には、係争商標登録の出願人が、一定の知名度を有する他者の商標を大量かつ大規模に先取り出願する行為などが含まれます。

原告である韓国人の文氏は、卓球などの商品に使用されている韓国商標Aの権利者です。中国において、訴外者は卓球等の商品において商標Aとほぼ同様の商標a(以下、「本件商標」という)を先取り出願し、本件の第三者に譲渡しました。

中国特許庁及び一審裁判所はいずれも、原告が提示した証拠では、本件商標の登録が中国商標法第44条第1項に掲げる「その他の不正手段による登録」に該当することは証明されていないと判断しました。

二審において、弊所は下記主張を裏付けるための証拠を多く提示しました。①訴外者及び本件の第三者が所有する商標のほとんどが、他者の有名な商標を盗作・複製したものであること;②訴外者が第三者に譲渡した、本件商標を含む8件の商標がすべて、海外の有名なブランドを模倣・複製したものであること;③訴外者及び第三者が他者の商標を複製・盗作する故意を有し、中国商標法第44条第1項に掲げる事由に該当するとした商標登録の拒絶査定(不服審判の審決)や無効審判の審決がいくつかあったこと。

二審裁判所は、本件商標の登録は商標登録の正常な秩序を乱し、公共の利益を損ない、信義誠実の原則に反するため、中国商標法(2013年改正)第44条第1項に掲げる「その他の不正手段による登録」に該当するとして、当方の主張を認め、一審判決及び審決の判断を是正しました。