(2002年10月12日 最高人民法院審判委員会第1246次会議可決。法釈(2002)32号。2002年10月12日公布、2002年10月16日施行。)

 商標紛争案件を正確に審理するため、「中華人民共和国民法通則」、「中華人民共和国契約法」、「中華人民共和国商標法」、「中華人民共和国民事訴訟法」等の法律の規定に基づいて、法律適用の若干問題に関して以下のように解釈する:

第1条

 以下の行為は商標法第52条第5項に規定された他人の登録商標専用権を侵害する行為に属する。

(一) 他人の登録商標と同一または類似する文字を企業名称とし、同一または類似する商品に際立って使用し、関係公衆に誤認を生じさせる可能性があるもの 。
(二) 他人の著名商標またはその主要な部分を複製、模倣、翻訳し、同一でないまたは類似でない商品で商標として使用し、公衆を誤認させ、当該著名商標登録人の利益に損害を与える可能性があるもの。
(三) 他人の登録商標と同一または類似する文字をドメインとして登録し、そして当該ドメインを通じて関係商品の電子商取引を行い、関係公衆に誤認を生じさせる可能性があるもの。

第2条

 商標法第13条第1項の規定により、他人の登録著名商標またはその主要な部分を複製、模倣、翻訳し、同一でないまたは類似でない商品で商標として使用し、公衆を誤認させ、当該著名商標登録者の利益に損害を与える可能性があるものは、侵害停止の民事法律責任を負わなければならない。

第3条

 商標法第40条に規定する商標使用許可は以下の三種類を含む。

(一) 独占的使用許諾とは、商標登録者が約束した期間、地域で、約束した方法により、当該登録商標を一人の被許諾者だけに使用を許諾し、商標登録者は約束に従い、当該登録商標を使用してはならないこと。
(二) 排他的使用許諾とは、商標登録者が約束した期間、地域で、約束した方法により、当該登録商標を一人の被許諾者だけに使用を許諾し、商標登録者は約束に基づき当該登録商標を使用することができるが、別途他人に当該登録商標を許諾することはできないこと。
(三) 一般的使用許諾とは、商標登録者が約束した期間、地域で、約束した方法により、他人に当該登録商標の使用を許諾し、商標登録者は自分で当該登録商標を使用または他人に当該登録商標の使用を許諾できること。

第4条

 商標法第53条に規定する利害関係人は、登録商標使用許諾契約の被許諾者、登録商標財産権利の合法的相続人を含む。
 登録商標専用権が侵害された場合、独占的使用許諾契約の被許諾者は人民法院に訴訟を提起することができ、排他的使用許諾の被許諾者は商標登録者と共同で訴訟を提起することができ、かつ商標登録者が訴訟を提起しない場合、自ら訴訟を提起することもできる。一般的使用許諾契約の被許諾者は商標権者からの明確な授権を得た場合に訴訟を提起することができる。

第5条

 商標登録者または利害関係者が登録商標更新の延長期間内に更新申請を提出し、認定される前に、他人よりその登録商標専用権を侵害されたとして訴訟を提起する場合は、人民法院はこれを受理しなければならない。

第6条

 登録商標専用権が侵害されたとして提起した民事訴訟は、商標法第13条、第52条で規定する侵害行為の実施地、侵害品の貯蔵地または封印、差押地、被告住所地の人民法院により管轄する。

 前項に規定した侵害品の貯蔵地とは、大量または経常的に侵害商品を貯蔵する場所を指し、封印差押地とは税関、工商などの行政機関が法律に基づき侵害商品を封印、差押えた場所を指す。

第7条

 侵害行為実施地の異なる幾つかの被告に対して提起した共同訴訟は、原告はそのうち一人の被告の侵害行為実施地の人民法院を管轄法院として選択することができ、被告のうち一人だけを提訴する場合は、当該被告の侵害行為実施場所の人民法院が管轄権を有する。

第8条

 商標法に言う関係公衆とは、商標に表記された某類の商品または役務に関係ある消費者及び前述の商品または役務の営業販売に密接な関係を持つその他の経営者をいう。

第9条

 商標法第52条第1項に規定する商標の同一とは、権利を侵害されたとして訴えられた商標と原告の登録商標を比較し、両者に視覚的な差異がないことをいう。

 商標法第52条第1項に規定する商標の類似とは、権利を侵害されたとして訴えられた商標と原告の登録商標を比較して、その文字の形、発音、意味または図形の構造及び色彩、または各要素を組み合わせた後の全体構造が類似であり、またはその立体形状、色彩組み合わせが類似で、関係公衆に商品の出所を誤認させる、またはその出所が原告の登録商標の商品と特定の関係を持つと誤認させる場合をいう。

第10条

 人民法院が商標法第52条第1項の規定に基づき、商標の同一または類似を認定する場合は次の原則に照らして行うものとする。

(一) 関係公衆の一般的な注意力を基準とする。
(二) 商標の全体を対比するほか、商標の主要部分の対比も行わなければならず、対比は対比する対象を隔離した状態でそれぞれ行わなければならない。
(三) 商標が類似か否かの判断は、保護を求める登録商標の顕著性および知名度を考慮する。

第11条

 商標法第52条第1項に規定する類似商品とは、機能、用途、生産部門、販売ルート、消費対象等の面において同じであり、または関係公衆がそれに特定の関係があると一般的に認識し、容易に混同を生じる商品をいう。

 類似の役務とは、役務の目的、内容、方式、対象等の面において同じであり、または関係公衆が特定の関係があると一般的に認識し、容易に混同を生じる役務をいう。

 商品と役務の類似とは、商品と役務との間に特定の関係があり、関係公衆を容易に混同させるものをいう。

第12条

 人民法院が商標法第52条第1項の規定に基づき、商品または役務が類似であるか否かを認定する場合は、関係公衆の商品または役務に対する一般的な認識を以って総合的に判断しなければならない。『商標登録用商品および役務の国際分類表』、『類似商品および役務区分表』を、商品または役務が類似であるかを判断する上での参考とすることができる。

第13条

 人民法院が商標法第56条第1項の規定に基づき、権利侵害者の賠償責任を決定する際には、権利者が選択した算出方法に基づいて賠償額を算出することができる。

第14条

 商標法第56条第1項に規定する侵害により取得した利益は、侵害商品の販売量に当該商品の単位利益を乗じて算出することができる。当該商品の単位利益が明らかでない場合は、登録商標商品の単位利益に基づいて算出する。

第15条

 商標法第56条第1項に規定する侵害により被った損失は、侵害により生じた権利者の商品の販売減少量または侵害商品の販売量に当該登録商標商品の単位利益を乗じて算出することができる。

第16条

 権利侵害者が侵害により取得した利益または被侵害者が侵害を被ったことにより受けた損失が確定できない場合は、人民法院は当事者の請求に基づきまたは職権によって、商標法第56条第2項の規定を適用して賠償額を決定する。

 人民法院が賠償額を決定する際には、侵害行為の性質、期間、結果、商標の名誉、商標使用許諾費用の金額、商標使用許諾の種類、時間、範囲および侵害行為を制止するための合理的支出等要素を総合的に考慮して決定しなければならない。

 当事者は本条第1項の規定に照らして賠償額に合意した場合には、それを尊重しなければならない。

第17条

 商標法第56条第1項に規定する侵害行為を制止するために支払う合理的支出には、権利者または委託代理人の侵害行為に対する調査、証拠取得を行う合理的費用を含む。

 人民法院は当事者の訴訟請求および案件の具体的情況に基づいて、国の関係部門の規定に合致する弁護士費用を賠償範囲に算入することができる。

第18条

 登録商標専用権侵害の訴訟時効は2年とし、商標登録者または利害権利者が侵害行為を知った日または知るべきであった日より起算する。商標登録者または利害権利者が2年を超えて訴訟を提起した時、依然侵害行為が継続しており、当該登録商標専用権が有効期間にある場合は、人民法院は被告の侵害行為停止の判決を下し、侵害の損害賠償額は権利者が人民法院に提訴した日より2年前に遡って推測して算出する。

第19条

 商標使用許諾契約が届出されていない場合でも、当事者が別途約定した場合を除き、当該許諾契約の効力に影響しないものとする。

 商標使用許諾契約が商標局に届出されていない場合は、善意の第三者に対抗することはできない。

第20条

 登録商標の譲渡は、譲渡前にすでに発効している商標使用許諾契約の効力に影響しないものとする。ただし、商標の使用許諾契約において別途規定しているものはこの限りでない。

第21条

 人民法院は登録商標専用権紛争案件の審理において、民法通則第134条、商標法第53条の規定および案件の具体的情況に基づき、権利侵害者に侵害停止、妨害排除、危険除去、損失賠償、影響排除等民事責任を負わせるよう判決することができ、さらに罰金や、侵害商品、偽造した商標マークおよび侵害商品を生産するための材料、器具、設備等財物を没収する民事制裁の決定を下すことができる。罰金額は『中華人民共和国商標法実施条例』の関係規定を参照して決定する。

 工商行政管理部門が同一の登録商標専用権侵害行為に対し、すでに行政処罰を行っている場合は、人民法院は新たに民事制裁を加えないものとする。

第22条

 人民法院は商標紛争案件の審理において、当事者の申立ておよび案件の具体的情況に基づいて、関係する登録商標が著名であるか否かを法に基づいて認定することができる。

 著名商標の認定は、商標法第十四条の規定に基づき行うものとする。

 当事者がかつて行政主管機関または人民法院によって認定された著名商標について保護を求める場合は、相手側当事者が関係する商標の著名性について異議を持たければ、人民法院は新たに審査しないものとする。異議が提出された場合は、人民法院は商標法第14条の規定に基づいて審査する。

第23条

 本解釈の商品商標に関連する規定は、役務商標に適用する。

第24条

 以前の関係規定と本解釈が一致しない場合は、本解釈を基準とする。