(2007年3月16 日第10 期全国人民代表大会第5 回会議にて可決  2007年3 月16 日中華人民共和国主席令第62 号公布)


目  次
第1 編  総  則
第1 章  基本原則
第2 章  物権の設定、変更、譲渡及び消滅
第1 節  不動産登記
第2 節  動産の引渡し
第3 節  その他規定
第3 章  物権の保護
第2編  所有権
第4 章  一般規定
第5 章  国家所有権と集団所有権、私的所有権
第6 章  所有権者の建物区分所有権
第7 章  相隣関係
第8 章  共  有
第9 章  所有権取得の特別規定
第3編  用益物権
第10 章  一般規定
第11章  土地請負経営権
第12 章  建設用地使用権
第13 章  宅地使用権
第14 章  地役権
第4編  担保物権
第15 章  一般規定
第16 章  抵当権
第1 節  一般抵当権
第2 節  最高額抵当権
第17 章  質  権
第1 節  動産質権
第2 節  権利質権
第18 章  留置権
2
第5 編  占  有
第19 章  占  有

附  則

第1 編  総  則

第1 章  基本原則

第1 条  国家の基本的な経済制度を遵守し、社会主義の市場経済秩序を維持し、物の帰属を明確にして、物の効力の発揮、権利者の物権を保護するために、憲法に準拠し、本法を制定する。

第2 条  物の帰属と利用により生ずる民事関係に、本法を適用する。
本法に言う物とは、不動産と動産を含む。法律で権利を物権の客体とすると定める場合、その規定に従う。
本法に言う物権とは、権利者が特定物に対して法に基づき享有する直接的な支配と排他的権利を指し、所有権、用益物権及び担保物権を含む。

第3 条  国家は、社会主義の初歩的段階では、公有制を主体とし、多くの所有制経済が共同で発展する基本的経済制度を堅持する。
国家は公有制経済を揺るぎないものとし発展させ、非公有制経済の発展を奨励、支持、指導する。
国家は社会主義の市場経済を実施し、全市場の主体である平等な法的地位と権利発展を保障する。

第4 条  国家、集団、私人の物権及びその他の権利者の物権は法律の保護を受け、如何なる組織や個人もこれを犯してはならない。

第5 条  物権の種類と内容は、法律により規定する。

第6 条  不動産物権の設定、変更、譲渡及び消滅は、法律の規定に従い登記しなければならない。動産物権の設定と譲渡は、法律の規定に従い引き渡さなければならない。

第7 条  物権の取得と行使は、法律を遵守し、社会の公徳を尊重し、公共の利益と他人の合法的権益を損害してはならない。

第8 条  その他関連の法律に、物権に対して別段特別の定めのあるときは、その規定に従う。

第2 章  物権の設定、変更、譲渡及び消滅

第1 節  不動産登記
第9 条  不動産物権の設定、変更、譲渡及び消滅は、法に基づく登記を経て、効力が生ずる。登記を経なければ、効力は生じない。但し法律に別段規定のある場合は、この限りではない。法に基づき国家の所有に属する自然資源の場合、所有権は登記しなくてもよい。

第10 条  不動産の登記は、不動産の所在地を管轄する登記所がつかさどる。国家は不動産に対して統一した登録制度を実施する。統一して登記する範囲、登記所と登記方法は、法律、行政法規により定める。

第11 条  当事者が登記を申請する場合、それぞれの登記事項に基づき不動産登記事項証明書及び不動産の境界、面積などの必要資料を提供しなければならない。

第12 条  登記所は次の職責を履行しなければならない。
(1)申請者が提出した不動産登記事項証明書とその他必要資料を検査する。
(2)登記に関連する事項を申請者に照会する。
(3)事実に基づき、速やかに関連事項を登記する。
(4)法律、行政法規に定めるその他職責。

登記を申請する不動産に関する状況に、更に証明が必要な場合、登記所は、申請者に補充資料を要求することができ、必要な時は、現地調査を行うことができる。

第13 条  登記所に次の行為があってはならない。
(1)不動産について評価を行なうよう要求する。
(2)年に1 度の定期検査の名目で重複登記をする。
(3)登記の職責の範囲を逸脱するその他行為。

第14 条  不動産物権の設定、変更、譲渡及び消滅を法律の規定に基づき登記しなければならない場合、不動産登記簿に記載時より、効力が生じる。

第15 条  当事者間で不動産物権の設立、変更、譲渡及び消滅に関連する契約を締結した場合、法律に別段規定がある場合、若しくは契約書に別途約定のある場合を除き、契約が成立した時から効力を生じる。物権の登記が行われていない場合、契約書の効力に影響はしない。

第16 条  不動産登記簿は、物権の帰属と内容の根拠とする。不動産登記簿は登記所が管理する。

第17 条  不動産の登記事項証明書は権利者が当該不動産の物権を享有する証明とする。不動産の登記事項証明書の記載事項は、不動産登記簿と一致しなければならない。記載事項が一致しない場合、不動産登記簿に誤りがあることを証明する確かな証拠のある場合を除き、不動産登記簿を基準とする。

第18 条  権利者、利害関係者が照会、複製を申請できる登記資料の場合、登記所は提供しなければならない。

第19 条  権利者、利害関係者が不動産登記簿に記載された事項に誤りがあると認める場合、登記の更正を申請することができる。
不動産登記簿に記載の権利者が更正に書面で同意する場合、若しくは登記に誤りがあると証明する証拠のある場合、登記所は更正しなければならない。不動産登記簿に記載の権利者が更正に同意しない場合、利害関係者は登記への異議を申したてることができる。登記所が登記への異議を認め、申請者が登記への異議から15 日以内に起訴しない場合、登記への異議は失効する。登記への異議が不適切で、権利者に損害をもたらした場合、権利者は申請者に損害賠償を請求することができる。

第20 条  当事者が不動産の売買契約やその他不動産物権の協議を締結した場合、物権の将来の実現を保証するために、約定に基づき、登記所へ予告登記を申請することができる。予告登記後、予告登記の権利者の同意を経ず、当該不動産を処分した場合、物権の効力は発生しない。予告登記後、債権が消滅した場合、または不動産登記を行うことができる日から3 ヶ月以内に登記を申請しない場合、予告登記は執行する。

第21 条  当事者が虚偽の資料を提出し登記を申請し、他人に損害を与えた場合、賠償責任を負わなければならない。登記に誤りにより、他人に損害を与えた場合、登記所は賠償責任を負わなければならない。登記所は賠償後、登記に過誤を犯した者へ償還請求することができる。

第22 条  不動産登記料は、個別に収受し、不動産の面積、体積、または価格の割合に基づき収受してはならない。

第2 節  動産の引渡し

第23 条  動産物権の設定と譲渡は、引渡し時より効力を生じる。但し法律に別段規定のある場合は、この限りではない。

第24 条  船舶、航空機と自動車などの物権の設定、変更、譲渡及び消滅は、登記を経なければ、善意の第三者に対抗してはならない。

第25 条  動産物権の設定と譲渡以前に、権利者が既に法に基づき当該動産を占有した場合、物権は法律行為の発効日より効力が生じる。

第26 条  動産物権の設定と譲渡以前に、第三者が法に基づき当該動産を占有した場合、引渡し義務に責任を負う者は、第三者への現物の返還請求権の譲渡を通じて引き渡しに替えることができる。

第27 条  動産物権の譲渡時、譲渡人が引き続き当該動産を占有すると双方が約定した場合、物権は約定の発効時から効力を発生する。

第3 節  その他規定

第28 条  人民法院、仲裁委員会の法律文書または人民政府の徴収決定などにより、物権の設定、変更、譲渡または消滅を招くに至った場合、法律文書、または人民政府の徴収決定などにより発効日から効力を生じる。

第29 条  相続または遺贈を受けることにより物権を取得した場合、相続若しくは遺贈の開始時から効力を生じる。

第30 条  合法的な家屋の建築、取り壊しなどの事実行為により物権を設定または消滅する場合、事実行為が成就した時から効力を生じる。

第31 条  本法第28 条から第30 条の規定に基づき不動産物権を享受し、当該物権を処分する際は、法律に基づき登記しなければならないと定める場合は、登記を経なければ、物権の効力は生じない。

第3 章  物権の保護

第32 条  物権が侵害を受けた場合、権利者は和解、調停、仲裁、訴訟などの手段で解決することができる。

第33 条  物権の帰属、内容により争議が生じた場合、利害関係者は権利の確認を請求することができる。

第34 条  不動産または動産を権限なく占有する場合、権利者は現物の返還請求権を
行使することができる。

第35 条  物権の実現を妨害する、若しくは物権の実現を妨害する恐れのある場合、権利者は妨害排除請求権利または妨害予防請求権を行使することができる。

第36 条  不動産または動産の毀損をもたらした場合、権利者は、修理、建替え、交換または現状の回復を請求することができる。

第37 条  物権を侵害し、権利者に損害をもたらした場合、権利者は損害賠償を請求することができ、その他民事責任を負うよう請求することもできる。

第38 条  本章に定める物権保護の方法は、単独で適用することができ、権利を侵害された状況に基づき一括して適用することもできる。物権の侵害は、民事責任を負う以外、行政管理の規定に違反する場合、法に基づき行政責任を負わなければならない、犯罪を構成した場合、法に基づき刑事責任を追及する。

第2編  所有権

第4 章  一般規定

第39 条  所有権者は自己の不動産または動産について、法に基づき、占有、使用、収益と処分の権利を有する。

第40 条  所有権は事故の不動産または動産に対して、用益物権と担保物権を設定する。用益物権者、担保物権者が権利を行使する場合、所有権者の権益を損害してはならない。

第41 条  法律に国家の所有に属すると定める不動産と動産は、如何なる単位や個人も所有権を取得することはできない。

第42 条  公共利益ために必要な場合、法律に規定する権限と手順に基づき、集団所有の土地及び組織、個人の家屋及びその他不動産を収用することができる。集団所有の土地を収用する場合、土地補償金、移転補償金、土地付加物と立木補償金などの費用を法に基づき、十分な額を支払わなければならず、土地を収用された農業従事者に補償金を手配し、土地を収用された農業従事者の生活を保障し、土地を収用された農業従事者の合法的な権益を保護しなければならない。組織、個人の家屋及びその他不動産を収用する場合、法に基づき取壊し費用の補償金を給付しなければならず、被収用者の合法的な権益を保護しなければならない。個人の住宅を収用する場合、更に被収用者の居住条件を補償しなければならない。如何なる組織や個人も、汚職、流用、着服、差止めを行ってはならず、補償金などの費用を遅滞してはならない。

第43 条  国家が耕地について特別な保護を行なう場合、農業地を建設用地と転用することを厳しく制限し、建設用地の送料を抑制する。法律に規定する集団所有による土地の収用の権限と手順を違反してはならない。

第44 条  災害時の救助、救済など緊急の必要から、法律に規定する権限と手順に基づき、組織、個人の不動産又は動産を収用することができる。収用された不動産や動産は使用後、被収用者へ返還しなければならない。組織、個人の不動産や動産が収用され、若しくは収用後に毀損、消失した場合、補償しなければならない。

第5 章  国家所有権と集団所有権、個人所有権

第45 条  法律に国家の所有財産に属すると規定する場合、国家の所有、すなわち全国民の所有に属する。国有財産は国務院代表が、国家を代表し、所有権を行使する。法律に別段規定のある場合は、この限りではない。

第46 条  高山資源、水資源、海域は国家の所有に属する。

第47 条  都市部の土地は、国家の所有に属する。法律に国家の所有に属すると規定する農村と都市近郊区の土地は、国家の所有に属する。

第48  条 森林、山地、草原、荒地、干潟などの自然資源は、国家の所有に属する。ただし、法律に集団所有に属すると規定する場合は、この限りではない。


第49 条  法律に国家の所有と規定する野生動植物資源は、国家の所有に属する。

第50 条  無線の周波数帯資源は国家の所有に属する。

第51 条  法律に国家の所有に属すると規定する文化財は、国家の所有に属する。

第52 条  国防資産は国家の所有に属する。鉄道、道路、電力施設、電気通信施設、オイル、ガスのパイプラインなどの基本設備は、法律に基づき国家の所有と規定する場合、国家の所有に属する。

第53 条  国家機関はその直接支配する不動産と動産に対して、占有、使用、及び法律と国務院の関連規定に照らし、処分する権利を有する。

第54 条  国家が主催する公共事業は、その直接支配する不動産と動産に対して、占有、使用、及び法律と国務院の関連規定に照らし、収益の権利と、処分の権利を有する。

第55 条  国家が出資する企業は、国務院、地方人民政府が法律、行政法規の規定に照らし、それぞれ国家を代表する出資者が責任を履行し、出資者の権益を享有する。

第56 条  国家が所有する財産は、法律の保護を受け、如何なる組織や単位も不法占拠、略奪、着服、差止、破壊することを禁止する。

第57 条  国有財産の管理、監督の職責を履行する機関及びその業務担当者は、法に基づき、国有財産の管理、監督について強化し、国有財産の維持増加を促進し、国有財産の損失を防止しなければならない。職権を乱用し、職責を軽んじ、国有財産の損失を招いた場合、法に基づき法律責任を負わなければならない。国有財産の管理規定に違反し、企業改正、合併分立、関連取引などの過程で、廉価での譲渡、共謀して着服する、無断で抵当に入れる又は、その他の方法で国有財産の損失を招いた場合、法に基づき法律責任を負わなければならない。

第58 条  集団所有の不動産と動産には次のものを含む。
(1)法律に集団の所有に属すると規定する森林、山林、草原、荒地、干潟。
(2)集団所有の建築物、生産設備、農地の水利施設。
(3)集団所有の教育、科学、文化、衛生、体育などの施設。
(4)集団所有のその他不動産と動産。

第59 条  農民集団所有の不動産と動産は、当該集団成員の集団所有に属する。次の事項は法定手続きに基づき、当該集団成員の決定を経なければならない。
(1)土地の請負経営案及び土地を当該集団以外の組織や個人へ請負に出す場合。
(2)個別の土地請負経営者間における請負地の調整。
(3)土地の補償費などの費用の使用、分配の方法。
(4)集団出資の企業の所有権変動などの事項。
(5)法律に定めるその他事項。

第60 条  集団所有の土地及び森林、山林、草原、荒地、干潟などに対して、次の規定に照らし所有権を行使する。
(1)村の農民集団所有に属する場合、村の集団経済組織又は村民委員会の代表が所有権を行使する。
(2)2 つ以上の農民集団所有にそれぞれ属する場合、郷鎮集団経済組織の代表が所有権を行使する。
(3)郷鎮の農民集団所有に属する場合、郷鎮の集団経済組織の代表が所有権を行使する。

第61 条  都市部住民の集団所有の不動産と動産は、法律、業績法規の規定に照らし、当該集団が占有、使用、収益及び処分の権利を有する。

第62 条  集団経済組織及び村民委員会、村民グループは、法律、行政法規及び規約、村の規約に照らし、当該集団成員へ集団財産の状況を公布しなければならない。

第63 条  集団所有の財産は法律の保護を受け、如何なる組織や個人も、不法占拠、略奪、着服、差止、破壊することを禁止する。集団経済組織、村民委員会又はその責任者が下した決定が集団の成員の合法的な権益を侵害した場合、侵害を受けた集団の成員は人民法院へ撤回を要求することができる。

第64 条  個人はその合法的な収入、家屋、生活用品、生産道具、原材料などの不動産と動産について所有権を有する。

第65 条  個人の合法的な貯蓄、投資及びその収益は法律の保護を受ける。国家は法に基づき個人の相続権及びその他の合法的な権益を保護する。

第66条  個人の合法的な財産は法律の保護を受け、如何なる組織や個人も不法占拠、略奪、破壊することを禁止する。

第67 条  国家、集団及び個人は法に基づき、有限責任会社、株式有限会社又はその他企業の設立に出資することができる。国家、集団及び個人が所有する不動産又は動産を企業に投じた場合、出資者は約定又は出資比率に基づき資産の収益、重大な決議及び経営管理者の選択などの権利を有し、併せて義務を履行する。

第68 条  企業法人はその不動産と動産について、法律、行政法規及び規約に照らし、占有、使用、収益と処分する権利を有する。企業法人以外の法人はその不動産と動産の権利について、関係する法律、行政法規及び規約の規定を適用する。

第69条  社会団体が法に基づき所有する不動産または動産は、法律の保護を受ける。

第6 章  所有権者の建物区分所有権

第70 条  区分所有権者は建物内の住戸、事業に用いる住戸等の専有部分に対して所有権を有する。専有部分以外の共有部分については、共有若しくは共同管理の権利を有する。

第71 条  区分所有権者はその建物の占有部分について占有、使用、収益及び処分の権利を有する。区分所有権者は権利を行使する場合、建築物の安全を脅かしてはならず、その他の区分所有権者の合法的な権益を損害してはならない。

第72 条  区分所有権者は建物の占有部分以外の共有部分について、権利を有し、義務を負う。権利の放棄を以って義務を不履行してはならない。区分所有権者が建物内の住戸、事業に使用する住戸などを譲渡する場合、その共有部分について有する共有と共同管理の権利も併せて譲渡する。

第73 条  建築区画内の道路は、区分所有権者の共有に属する。但し、都市部の公共道路に属する部分はこの限りではない。建築区画内の緑地は、区分所有権者の共有に属する。但し、都市部の公共緑地又は個人に属すると明示する場合はこの限りではない。建築区画内のその他公共の場所、公用施設と不動産のサービスに使用する家屋は、区分所有権者の共有に属する。

第74 条  建築区画内において、自動車を駐車するのに用いる定置場、車庫は、先ず区分所有権者の需要を満足させなければならない。建築区画内において、自動車を駐車するのに用いる定置場、車庫の計画の帰属は、当事者が販売、附帯又賃貸などの方法で約定する。区分所有権者の共有の道路若しくはその他の場所を占有し自動車を駐車するのに用いる定置場とする場合、区分所有者権者の共有に属する。

第75 条  区分所有権者は、区分所有権者会議を開催することができ、区分所有権者委員会の選挙を実施することができる。地方の人民政府の関連部門は、区分所有権者会議の開催と区分所有権者委員会の選挙について指導と協力をしなければならない。

第76 条  次の事項は、区分所有権者が共同で決定する。
(1)区分所有権者会議の議事規則の制定と修正。
(2)建物及びその付属施設の管理規約の制定と修正。
(3)区分所有権者委員会の選挙又は区分所有権者委員会の成員の交替。
(4)不動産サービス企業又はその他管理人の選任と解任。
(5)建物及びその付属施設の修繕費用の徴収と使用。
(6)建物及びその付属施設の改築、再建。
(7)共有と共同管理に関連する権利とその他重大事項。前項第5項と第6 項に規定する事項を決定する場合、専有部分が建築物に占める総面積の3分の2以上の区分所有権者で且つ総人数3分の2以上の区分所有権者の同意を経なければならない。善行のその他事項を決定する場合、専有部分が建築物に閉める総面積の過半数の区分所有権者で且つ総人数の過半数の区分所有権者の同意を経なければならない。

第77 条  区分所有権者は法律、法規及び管理規約に違反してはならず、住宅を事業性の住戸に変更した場合、法律、法規及び管理規約を遵守する他、利害関係にある区分所有権者の同意をへなければならない。

第78 条  区分所有権者会議又は区分所有権者委員会の決定は、区分所有権者に対して拘束力を有する。区分所有権者会議又は区分所有権者委員会が下した決定が区分所有権者の合法的な権益を侵害した場合、侵害を受けた区分所有権者は、人民法院へ撤回を請求することができる。

第79 条  建築物及びその付属施設の修繕費用は、区分所有権者の共有に属する。区分所有権者の共同決定を経て、エレベーター、給水タンクなどの共有部分の補修に用いることができる。修繕費用の徴収、使用状況は公表しなければならない。

第80 条  建築物及びその付属施設の費用の割当、収益の分配などの事項に、約定のある場合は、約定に従う。約定のない場合若しくは約定が不明確な場合、区分所有者の占有部分が建物の総面積に占める割合に基づき確定する。

第81 条  区分所有権者は、建築物及びその付属施設を自ら管理することができ、不動産サービス企業又はその他管理者へ委託し管理することもできる。建築部門が採用した不動産サービス企業やその他管理者について、区分所有権者は法に照らし交替させる権利を有する。

第82 条  不動産サービス企業又はその他管理者は、区分所有権者が建築区画内の建物及びその他付属施設の管理の委託に基づき、区分所有権者の監督を受けなければならない。

第83 条  区分所有権者は、法律、法規及び管理規約を遵守しなければならない。区分所有権者会議と区分所有権者委員会は、ゴミの投棄、汚染物の排出又は騒音、規定に違反し動物を飼育する、規則に違反し建築する、通路の不法占拠、不動産費の支払い拒否など他人の合法的な権益を損害する行為に対して、法律、法規及び管理規約に照らし、侵害の停止、危険の除去、妨害の排除、損失の賠償を行為者に要求する権利を有する。区分所有権者は自己の合法的な権益を侵害する
行為に対して、法に基づき人民法院へ訴訟を起こすことができる。

第7 章  相隣関係

第84 条  不動産の相隣関係の各権利者は、生産の利点、生活の利便、団結、協力、公平、合理の原則に基づき、適切に相隣関係を処理しなければならない。

第85 条  法律、法規に相隣関係の処理について規定のある場合、その規定に従う。法律、法規に規定のない場合は、当該地の習慣に従うことができる。

第86 条  不動産の権利者は、相隣関係の各権利者の用水、排水のために、必要な利便を提供しなければならない。自然流水の利用に対しては、不動産の相隣関係の権利者間で合理的に分配しなければならない。自然流水の排水は、自然の水流を尊重しなければならない。

第87 条  不動産の権利者は、相隣関係の各権利者の通行などによりその土地を利用しなければならない場合、必要な利便を提供しなければならない。

第88 条  不動産の権利者が建築物の建造、修繕及び電線、ケーブル、水道管、スチームとガス管のラインなどの敷設により、相隣関係の土地、建築物の利用が必要な場合、当該土地、建築物の権利者は必要な利便を提供しなければならない。

第89条  建築物を建造する場合、国家の工事建設に関する基準に違反してはならず、相隣関係にある建築物の通気、採光、日照を妨害してはならない。

第90 条  不動産の権利者は、国家が定める固体廃棄物の投棄、大気汚染物の排出、水質汚染物、草案、光、電磁波の輻射物などの有害物質に違反してはならない。

第91 条  不動産の権利者は、土地の掘削、建築物の建造、パイプラインの敷設及び設備の取付けなど、相隣関係にある不動産の安全を脅かしてはならない。

第92 条  不動産の権利者が用水、排水、通行、パイプラインの敷設など相隣関係にある不動産の場合、可能な限り、相隣関係にある不動産の権利者に対して、損害を与えることを回避しなければならない。損害をもたらした場合は、賠償しなければならない。

第8 章  共  有
第93 条  不動産または動産は2 つ以上の組織、個人により共有できる。共有には持分共有と共同共有を含む。

第94 条  持分権共有者は共有の不動産や動産に対して、その持分額に基づき所有権を有する。

第95 条  共同共有者は共有の不動産や動産に対して共同で所有権を有する。

第96 条  共有者は約定に基づき共有の不動産や動産を管理する。約定のない場合若しくは約定が不明確な場合、全ての共有者は管理の権利と義務を有する。

第97 条  共有の不動産や動産を処分する場合及び共有の不動産や動産について重大な修繕を行う場合、持分額の3 分の2 以上を占める共有者または全体の共同共有者の同意を経なければならない。但し、共有者間に別段約定のある場合はこの限りではない。

第98 条  共有物の管理費用及びその他負担に対して、約定のある場合は、約定に従う、約定のない場合、若しくは約定が不明確な場合、持分共有者はその持分に基づき負担し、共同共有者は共同で責任を負う。

第99 条  共有者が共有の不動産や動産の分割をしてはならないと約定し、共有関係を維持する場合、約定に従う。但し共有者に重大な理由があり分割する場合、分割を請求することができる。約定がない場合、若しくは約定が不明確な場合、持
分共有者は、適時分割を請求することができ、共同共有者は共有の基礎喪失または重大な理由で分割の必要場あるときは、分割を請求することができる。分割により、その他共有者に、損失をもたらした場合は、賠償をしなければならない。

第100 条  共有者は協議のより分割方法を確定することができる。合意に達しない場合、共有の不動産や動産は分割でき、且つ分割により価値を損なうことが無い場合は、実物に対して分割しなければならない。分割するのは困難な場合、分割により価値が下がる場合、割引または転売で取得した金額を分割しなければならない。共有者の所得である不動産や動産を分割し、瑕疵が生じた場合、その他共有者は損失を分担しなければならない。

第101 条  持分共有者は、その有する共有の不動産や動産の金額を譲渡することができる。その他共有者は同等の条件下で、優先的に購入する権利を有する。

第102 条  共有の不動産や動産により生じた債権債務の場合、対外関係上、共有者は連帯債権を有し、連帯債務を負う。但し法律に別段規定のある場合、若しくは、共有者は連帯債権債務の関係がないと第三者が認める場合は、この限りではない。共有者の内部関係において、共有者に別段約定のあるのを除き、持分共有者は持分額に基づき債権を有し、債務を負い、共同共有者は、債権を有し、債務を負う。債務の返済が自身の負うべき金額を超過した持分共有者は、その他共有者に賠償請求の権利を有する。

第103条  共有者が共有の不動産や動産に持分共有とするか共同共有とするかの約定がない場合、若しくは約定が不明確な場合、共有者が家族関係などを有するのを除き、持分共有とみなす。

第104 条  持分共有者は共有の不動産や動産に基づき、共有する金額に対して、約定のない場合、または約定が不明確な場合、出資額に基づき確定する。出資額の確定することができない場合は、同額共有とみなす。

第105 条  2つ以上の組織、個人が用益物権、担保物権を共同で有する場合、本章の規定を参照する。

第9 章  所有権を取得する特別規定

第106 条  処分権のない者が不動産や動産を譲受人に譲渡した場合、所有権者は取り戻す権利を有する。法律に別段規定のある場合を除き、次の情状に該当する場合、譲受人は不動産又は動産の所有権を取得する。
(1)譲受人が当該不動産又は動産を譲り受けた時、善意の取得であった場合。
(2)合理的な価格での譲渡の場合。
(3)法律に基づき登記しなければならないと規定する譲渡不動産または動産を既に登記している場合、登記の必要のないものを既に譲受人に引き渡している場合。
譲受人が前項に規定する不動産や動産の所有権を取得した場合、元の所有権者は処分権のない者へ損害賠償を請求することができる。当事者がその他物権を善意で取得した場合、前2項の規定を参照する。

第107 条  所有権者又はその他権利者は遺失物を取り戻す権利を有する。当該遺失物他人に譲渡され占有された場合、権利者は、処分権のない者へ損害賠償を請求する、若しくは譲受人を知った日、又は譲受人を当然知っているべき日から2 年以内に譲受人に現物の返還を請求する。ただし、譲受人が当該遺失物を競売にかけた場合、若しくは経営資格のある経営者へ販売した場合、権利者が現物を返還するよう請求する際、譲受人が支払った費用を支払わなければならない。権利者は譲受人へすべての費用を支払った後、処分権のない者へ補償請求することができる。

第108 条  善意の譲受人が動産を取得後、当該動産に元からある権利は消滅する。ただし、善意の譲受人が譲り受けた時に当該権利を知っていた又は当然知っているべき場合はこの限りではない。

第109 条  遺失物を取得した場合、権利者へ返還しなければならない。拾得者は速やかに権利者へ受け取りを通知しなければならない、若しくは公安などの関連部門へ届け出なければならない。

第110条  関連部門は遺失物を受領し、権利者が確認できた場合、速やかにそれを受領するよう通知しなければならない。確認できない場合は、速やかに、受領公告を公布しなければならない。

第111 条  拾得者は遺失物を関連部門へ届け出る前に、関連部門は遺失物が受領される前に、遺失物を適切に保管しなければならない。故意に又は重大な過失により遺失物を毀損、滅失するに至らしめた場合、民事責任を負わなければならない。

第112条  権利者は遺失物を受領した際、拾得者又は関連部門へ遺失物の保管などに支払った必要経費を支払わなければならない。権利者が懸賞金で遺失物を探す場合、遺失物を受領した際、約束に基づき義務を履行しなければならない。拾得者が遺失物を占有した場合は、遺失物の保管などで支出した費用を請求する権利はなく、また権利者へ約束に基づく義務の履行を請求する権利もない。

第113条  遺失物が、受領公告日から6ヶ月以内に受取人のない場合、国家の所有に帰する。

第114条  漂流物を拾得した場合や埋蔵物や隠匿物を発見した場合、遺失物拾得に関連する規定を参照する。文化財保護法などの法律に別段規定のある場合は、その
規定に従う。

第115条  主物を譲渡する場合、従物は主物に従い譲渡する。但し、当事者に別に約定のある場合はこの限りではない。

第116 条  天然果実は所有権者が取得する。所得権者があり用益物権者もいる場合、用益物権者が取得する。当事者に別に約定のある場合、約定に基づき取得する。法定果実は、当事者に約定のある場合、約定に基づき取得する。約定の無い場合または約定が不明確な場合、取引の習慣に基づき取得する。

第3編  用益物権
第10 章  一般規定

第117条  用益物権の権利者は、他人の所有する不動産や動産に対して、法に基づき、占有、使用及び収益の権利を享有する。

第118条  国家の所有若しくは国家の所有を集団で使用する及び法律に集団の所有に属すると規定する自然資源の場合、組織、個人は法に基づき占有、使用及び収益を得ることができる。

第119条  国家は自然資源の有償使用制度を実施する、但し法律に別段規定のある場合はこの限りではない。

第120 条  用益物権の権利者が権利を行使するには、資源の保護と合理的な開発利用に関する法律の規定を遵守しなければならない。

第121 条  不動産や動産の徴収、収用により使用する用益物権の消滅又は用益物権の行使に影響のあった場合、用益物権の権利者は本法第42 条、第44 条の規定に基づき、相応の補償を得ることができる。

第122 条  法に基づき取得した海域の使用権は法律の保護を受ける。

第123 条  法に基づき取得した鉱山探査権、採掘権、取水権及び使用水域、養殖権、漁業権は、法律の保護を受ける。

第11章  土地請負経営権

第124 条  農村集団経済組織は家庭請負経営を基礎とし、統一と分離が結合する2重の経営体制を実施する。農民の集団所有及び国家の所有の耕地、林地、牧草地及びその他農業に使用する土地を農民が集団で使用する場合、法に基づき土地請負経営制度を実施する。

第125 条  土地請負経営権の権利者は法に基づき、その請負経営の耕地、林地、牧草地などについて占有、使用及び収益の権利を享有し、栽培業、林業、牧畜業などの農業生産に従事する権利を有する。

第126 条  耕地の請負期限は30 年とする。牧草地の請負期限は35 年から50 年とする。林地の請負期限は30 年から70 年とする。特殊な材木の林地の請負期限は、国務院林業行政主管部門の審査承認を経て延長することができる。
前項に定める請負期限の満了後、土地の請負経営権の権利者が国家の関連規定に基づき引き続き請負う。

第127 条  土地の請負経営権は土地の請負経営権契約の発効時から成立する。県クラス以上の地方人民政府は、土地の請負経営権の権利者へ土地の請負経営権証明、山林権証明、牧草地使用権証明を発給し、併せて登記登録し、土地の請負経営権を確認しなければならない。

第128 条  土地請負経営権の権利者は、農村の土地請負法の規定に基づき、土地請負経営権を下請け、交換、譲渡などの方法を講じ、移譲することができる。移譲期限は請負経営期限の残存期限を超過してはならない。法に基づき審査承認を経ずに、請負地を非農の建設に使用してはならない。

第129 条  土地の請負経営権の権利者が土地の請負経営権を交換、譲渡し、当事者が登録を要求する場合、県クラス以上の地方人民政府へ土地請負経営の登録変更を申請しなければならず、善意の第三者に対抗してはならない。

第130 条  請負期限内において注文者は請負地を調整してはならない。自然災害による請負地への深刻な毀損など特殊な状況により、請負った耕地と牧草地を適切に調整する必要のある場合は、農村の土地請負法などの法律の規定に基づき処理しなければならない。

第131 条  請負期限において、注文者は請負地を回収してはならない。農村の土地請負法などの法律に別段定めのある場合は、その規定に従う。

第132 条  請負地を徴用される場合、土地の請負経営権の権利者は、本法第42 条第2項の規定に基づき相応の補償を得ることができる。

第133 条  入札、競売、公開協議などの方法を通じて荒地などの農村の土地を請負う場合、農村の土地請負法などの法律と国務院の関連規定に基づき、その土地の請負経営権を譲渡、株式方式、抵当またはその他方法で移譲することができる。

第134条  国家が所有する農地に請負経営を行なう場合、本法の関連規定を参照する。

第12 章  建設用地使用権

第135 条  建設用地使用権の権利者は、法に基づき国家が所有する土地に対して、占有、使用及び収益の権利を享有し、当該地の建造物、建築物、構造物及びその付属施設を利用する権利を有する。

第136 条  建設用地使用権は、土地の地表、地上または地下にそれぞれ設定できる。新たに設定する建設用地使用権は、既に設定済みの用益物権を損害してはならない。

第137条  建設用地使用権の設定は、払下げや割当てなどの方法を採ることができる。工業、商業、旅行業、娯楽及び商品住宅などの事業用地及び同一の土地に2 つければならない。割当ての方法で建設用地使用権を設定することに対して厳しく制限する。割当ての方法を採る場合、法律、行政法規の土地用途に関する規定を遵守する。

第138 条  入札、競売、協議などの払下げの方法で建設用地使用権を設定する場合、当事者は書面の形式で、建設用地使用権の払下げ契約書を締結しなければならない。次の建設用地使用権の払下げ契約書には、通常、次の状況が含まれていなければならない。

(1)当事者の名称と住所。
(2)土地の境界、面積など。
(3)建築物、構築物及びその付属施設の占有空間。
(4)土地の用途。
(5)使用期限。
(6)払下げ金などの費用及びその支払方法。
(7)争議の解決方法。

第139 条  建設用地使用権の設定は、登録機関へ建設用地使用権の登記を申請する。建設用地使用権は登録時から設定する。登録機関は建設用地使用権の権利者へ建設用地使用権の証明書を発給しなければならない。

第140 条  建設用地使用権の権利者は、合理的に土地を利用しなければならず、土地の用途を変更してはならない。土地の用途を変更する必要のある場合は、法に基づき、関連の行政主観部門の審査承認を経なければならない。

第141 条  建設用地使用権の権利者は法律の規定及び契約書の約定に照らし、払下げ金などの費用を支払わなければならない。

第142 条  建設用地使用権の権利者が建造した建築物、構造物及びその付属施設の所有権は、建設用地使用権の権利者に属する。但し、相反する証拠、証明のある場合はこの限りではない。

第143 条  建設用地使用権の権利者は建設用地使用権を譲渡、交換、出資、贈与または抵当とする権利を有する。但し、法律に別段定めのある場合はこの限りではない。

第144 条  建設用地使用権の譲渡、交換、出資、贈与または抵当とする場合、当事者は、書面の形式で相応の契約書を締結しなければならない。使用期限は当事者が約定する。但し建設用地使用権の残存期限を超過してはならない。

第145 条  建設用地使用権を譲渡、交換、出資または贈与する場合、登録機関へ登録変更を申請しなければならない。

第146 条  建設用地使用権を譲渡、交換、出資または贈与する場合、当該土地に付随する建築物、構造物及びその付属施設も一括して処分する。

第147 条  建築物、構造物及びその付属施設を譲渡、交換、出資または贈与する場合、当該建築物、構造物及びその付属施設の占有範囲内の建設用地使用権も併せて処分する。

第148 条  建設用地使用権の期限満了以前に、公共の利益により事前に当該土地を改修する必要のある場合は、本法第42 条の規定に照らし当該土地の地上の家屋及びその他不動産に対して、補償を与えなければならず、併せて相応の払下げ金を返還しなければならない。

第149 条  住宅建設用地使用権の期限が満了した場合、自動的に継続する。非住宅建設用地使用権の期限満了後の継続期間は、法律の規定に基づき取り扱う。当該地の家屋及びその他不動産の帰属は、約定のある場合は、その約定に従う約定のない場合、若しくは不明慮な場合は、法律、行政法規の規定に照らし、取り扱う。

第150 条  建設用地使用権を消失した場合、譲受人は速やかに登記抹消の手続きを行なわなければならない。登録機関は建設用地使用権の証明書を回収しなければならない。

第151 条  集団所有の土地を建設用地とする場合、土地管理法などの法律の規定に照らし取り扱わなければならない。

第13 章  宅地使用権

第152 条  宅地使用権の権利者は法に基づき集団所有の土地に対して、占有と使用の権利を享有し、法に基づき当該地の建造住宅及びその付属施設を利用する権利を有する。

第153 条  宅地使用権の取得、行使及び譲渡は、土地管理法などの法律と国家の関連規定を適用する。

第154 条  宅地が自然災害などの原因により滅失した場合、宅地使用権は滅失する。宅地を失った村民については、新たに宅地を分配しなければならない。

第155 条  既に登記された宅地使用権を譲渡または滅失した場合。速やかに登記変更若しくは登記抹消の手続きをしなければならない。

第14 章  地役権

第156 条  地役権の権利者は契約の約定に照らし、他人の不動産を利用し自身の不動産の利益を高める権利を有する。前項に言う他人の不動産を承役地とし、自身の不動産を要役地とする。

第157 条  地役権の設定は、当事者が書面の形式で地役権契約を締結しなければならない。地役権契約は通常次の条項を含む。
(1)当事者の氏名または名称及び住所。
(2)承役地と要役地の住所。
(3)利用の目的と方法。
(4)利用期限。
(5)費用及びその支払い方法。
(6)争議の解決方法。

第158 条  地役権は地役権契約の発効した時に設定する。当事者が登記を要求する場合、登録機関へ地役権の登録を申請することができる。登録を経ていない場合、善意の第三者に対抗してはならない。

第159 条  承役地の権利者は契約の約定に照らし、地役権の権利者がその土地を利用することを許可し、地役権の権利者が権利を行使することを妨害してはならない。

第160 条  地役権の権利者は、契約書に約定した利用目的と方法に基づき、承役地を利用しなければならず、承役地の権利者の物権の制約を可能な限り減らさなければならない。

第161 条  地役権の期限は当事者が約定する。但し、土地請負経営権、建設用地使用権などの用益物権の残存期限を超過してはならない。

第162条  土地所有権の権利者が、地役権を享有する若しくは地役権を負担する場合、土地請負経営権、宅地使用権を設定する時に、当該地の請負経営権の権利者、宅地使用権の権利者は、既に設定済みの地役権を引き続き享有する、若しくは負担する。

第163 条  土地に既に土地請負経営権、建設用地使用権、宅地使用権などの権利が設定されている場合、用益物権の権利者の同意を経ずに、土地所有権の権利者は地役権を設定することはできない。

第164 条  地役権を単独で譲渡してはならない。土地請負経営権、建設用地使用権などを譲渡する場合、地役権も併せて譲渡する。但し契約書に別段定めのある場合はこの限りではない。

第165 条  地役権は単独で抵当としてはならない。土地請負経営権、建設用地使用権などを抵当とする場合、抵当権が実現するとき、地役権も併せて譲渡する。

第166 条  要役地及び要役地上の土地請負経営権、建設用地使用権を部分的に譲渡する際、譲渡部分が地役権に関わる場合、譲受人は同時に地役権も享有する。

第167 条  承役地及び承役地上にある土地請負経営権、建設用地使用権を部分的に譲渡する際、譲渡部分が地役権に関わる場合、地役権は譲受人に対して拘束力を持つ。

第168 条  地役権の権利者が次の情状の1 に該当する場合、承役地の権利者は地役権の契約を解除する権利を有し、地役権は滅失する。
(1)法律の規定若しくは契約書の約定に違反し、地役権を乱用した場合。
(2)承役地を有償で利用し、約定した支払期限の満了後の合理的な期限内に2度の催告を受けても費用を支払わない場合。

第169 条  既に登記済みの地役権を変更、譲渡または滅失した場合、速やかに登記変更または、登記を抹消しなければならない。

第4編  担保物権

第15 章  一般規定

第170 条  担保物権者は、債務者が履行期限になっても履行しない場合、または当事者が約定した債権が実現する状況にある場合、法に基づき担保財産を優先的に弁済を受ける権利を享有する。但し法律に別段規定のある場合はこの限りではない。

第171 条  債権者が貸付、売買などの民事活動において、その債権の実現を保障するために、保証の必要な場合、本法及びその他法律の規定に照らし担保物権を設定することができる。第三者を債務者として債権者へ担保を提供する場合、債務者へ反担保を請求することができる。反担保は本法およびその他法律の規定を適用する。

第172 条  担保物権の設定は、本法及びその他法律の規定に基づき担保契約を締結しなければならない。担保契約は主債権の債務契約の従契約とする。主債権の債務契約が無効の場合、担保契約は無効である。但し法律に別段定めのある場合はこの限りではない。担保契約の無効が確認された後、債務者、保証人、債権者に誤りがあった場合、その過失に基づき各自相応の民事責任を負わなければならない。

第173 条  担保物権の保証範囲は主債権およびその利息、違約金、損害賠償金、保証財産の保管と担保物権の実現費用を含む。当事者に別段約定のある場合は、約定に従う。

第174 条  保証期間に、担保財産の毀損、消滅又は徴用などがあった場合、担保物権者は、保険金、賠償金または補償金などの優先的な弁済を受けることができる。担保とされた債権の履行期限が到来していない場合、当該保険金、賠償金または補償金などを供託することができる。

第175 条  第三者が担保を提供し、その書面による同意を経ず、債務者が債務の全てまたは一部を移転することを債権者が許可した場合、保証人は相応の保証責任を負わない。

第176 条  担保とされた債権に既に物の担保があり、人の担保もある場合、債権者が債務の期限が来た債務を履行しない、若しくは当事者が約定した担保物権が実現する状況にある場合、債務者は自身が提供した担保の場合、債権者は当該物の担保の債権を先に実現しなければならない。第三者が提供した物の担保の場合、債権者は物の担保の債権を実現でき、保証人へ保証責任を負うよう請求することができる。担保を提供した第三者が担保責任を負った後、債務者へ補償請求する権利を有する。

第177 条  次の情状の1に該当する場合、担保物権は消滅する。
(1)主債権が消滅した場合。
(2)担保物権が実現した場合。
(3)債権者が担保物権を放棄した場合。
(4)法律に担保物権の消滅を規定するその他状況。

第178 条  担保法と本法の規定が符合しない場合、本法を適用する。
第16 章  抵当権
第1 節  一般抵当権

第179 条  担保の債務を履行するために、債務者または第三者が財産の占有を移転せず、当該財産を債権者へ抵当とし、債務者が債務の期限到来後も履行しない、若しくは当事者が約定した抵当権が実現する状況にある場合、債権者は優先的な当該財産の弁済を受ける権利を有する。前項に定める債務者又は第三者を抵当者とする場合、債権者を抵当権者とし、提供された担保財産を抵当財産とする。

第180 条  債務者又は第三者は次の財産を抵当として処分することができる。
(1)建築物とその他土地付着物。
(2)建設用地使用権。
(3)入札、競売、公開協議などの方法で取得して土地などの土地請負経営権。
(4)生産設備、原材料、仕掛品、製品。
(5)建造中の建築物、船舶、航空機。
(6)交通運輸手段。
(7)法律、行政法規に抵当を禁止されていないその他財産。抵当権者は前項に述べる財産を併せて一括し抵当にできる。

第181 条  当事者の書面による協議を経て、企業、個人経営者、農業生産経営者は、現有、及びまもなく有する生産設備、原材料、仕掛品、製品の抵当を、債務者が債務の期限到来後も履行しない場合または当事者が約定した抵当権を実現する
状況が生じた場合、債権者が抵当権を実現する際の動産の優先的な弁済を受ける権利を有する。

第182 条  建築物を抵当とする場合、当該建築物の占有範囲内の建設用地使用権も併せて抵当とする。建設用地使用権を抵当とする場合、当該と地上の建築物も併せ
て抵当とする。抵当権設定者が前項の規定に依らず、併せて抵当としない場合、抵当としない財産は併せて抵当としたものとみなす。

第183 条  郷鎮、村の企業の建設用地使用権は、単独で抵当としてはならない。郷鎮、村の企業の工場建屋などの建築物を抵当とする場合、その占有範囲内の建設用地使用権は併せて一括し抵当とする。

第184 条  次の財産は抵当としてはならない。
(1)土地所有権。
(2)耕地、宅地、自留地、自留山などの集団所有の土地使用権。但し法律に抵当にすることができると定める場合はこの限りではない。
(3)学校、幼稚園、病院など公益を目的とする公共機関、社会団体の教育施設、医療衛生建設とその他社会公益施設。
(4)所有権、使用権が不明の場合、若しくは争議のある財産の場合。
(5)法に基づき差押、押収、監督下におかれた財産。
(6)法律、行政法規に、抵当としてはならないと定めるその他財産。
第185 条  抵当権の設定の場合、当事者は書面の方法で抵当契約を締結しなければならない。抵当契約は通常次の条項を含む。
(1)被担保債権の種類と金額。
(2)債務者が債務を履行する期限。
(3)抵当財産の名称、数量、品質、状況、所在地、所有権の帰属または使用
権の帰属。
(4)担保の範囲。

第186 条  抵当権者は、債務の履行期限満了以前において、抵当権設定者と約定した債務者が債務を履行しないとき、抵当財産を債権者の帰属としてはならない。

第187 条  本法第180条1 から3 に定める財産、または5 に定める目下建造中の建築物を抵当とする場合、抵当権設定登記をしなければならない。抵当権は登記時に設定されたものとみなす。

第188 条  本法第180条第1 項4、6 に定める財産または、5 に定める目下建造中の船舶、航空機を抵当とする場合、抵当権は抵当契約の発効時に設定されたものとする。登記を経ていない場合、善意の第三者に対抗してはならない。

第189 条  企業、個人経営者、農業生産経営者及び本法第181 条に定める動産を抵当とする場合、抵当権設定者の住所のある工商行政管理部門へ登録を届け出る。抵当権は抵当契約の発効時に設定されたものとみなす。登記を経ていない場合、善意の第三者に対抗することはできない。本法第181 条に基づき抵当を定める場合、通常の経営活動において既に合理的か価格を支払い、且つ抵当財産を取得した譲受人に対抗してはならない。

第190 条  抵当契約の締結以前に、抵当財産を貸出した場合、元の賃貸関係は当該抵当権の影響を受けない。抵当権の設定後に抵当財産を貸出す場合、当該賃貸関係は、既に登録済みの抵当権に対抗してはならない。

第191 条  抵当期間に、抵当権設定者が抵当権者の同意を経て抵当財産を譲渡する場合、譲渡所得の金額を抵当権者へ事前に債務を弁済する、又は供託しなければならない。譲渡価格が債権額を超過する部分は、抵当権設定者に帰属し、不足部分は債務者が返済する。抵当期間に、抵当権設定者は抵当権者の同意を経ずに、抵当財産を譲渡してはならない。但し、譲受人が債務の返済の代わりに抵当権を消滅させる場合はこの限りではない。

第192 条  抵当権は債権と分離してはならず、単独で譲渡してもならず、又その他債権の担保としてはならない。債権を譲渡する場合、担保である当該債権の抵当権も併せて譲渡する。但し法律に別段定める場合、又は当事者に別に約定のある場合はこの限りではない。

第193 条  抵当権設定者の行為が抵当財産の価値を減少させるに十分である場合、抵当権者は、抵当権設定者へその行為を停止するよう要求する権利を有する。抵当財産の価値が減少した場合、抵当権者は、抵当財産の価値を回復させるよう要求することができる、若しくは減少した価値と相応の補償の提供を要求する権利を有する。抵当権設定者が抵当財産の価値を回復させず、補償も提供しない場合、抵当権者は、債務者へ事前に債務を返済するよう要求する権利を有する。

第194 条  抵当権者は抵当権または抵当権の順位を放棄することができる。抵当権者と抵当権設定者は、抵当権の順位及び担保とされた債権の金額などの内容の変更を協議することができる。但し、抵当権の変更の場合、その他抵当権者の書面による同意を経なければ、その他抵当権者に対して不利な影響を生じさせてはならない。債務者は自身の財産を担保に設定し、抵当権者が当該抵当権、抵当権の順位を放棄する、または、抵当権を変更した場合、その他保証人は、抵当権が喪失した優先償還権の範囲内で、担保責任を免除する。但しその他保証人が依然として保証の提供を承諾する場合はこの限りではない。

第195 条  債務者が債務の期日が到来しても履行しない場合、若しくは当事者に約定した抵当権の実現の状況が生じた場合、抵当権者は、抵当財産を換価する、又は競売、売却した当該抵当財産の所得金額で優先償還するよう、抵当権設定者と協議することができる。協議がその他債権者の利益に損害を与えた場合、その他債権者は、取消理由を知った日、又は知り得た日から1 年以内に人民法院へ当該協議の撤回を請求することができる。抵当権者と抵当権設定者が抵当権の実現の方法による協議に達しなかった場合、抵当権者は、人民法院へ、抵当財産を競売、売却するよう請求することができる。抵当財産を換価又は売却する場合、市場価格を参照しなければならない。

第196 条  本法第181条の規定に基づき抵当を設定する場合、抵当財産は次の情状の1 が生じた時から確定する。
(1)債務履行期限が満了し、債権が実現していない場合。
(2)抵当権設定者が破産を宣告された、又は取消された場合。
(3)当事者が約定した抵当権の実現する状況。
(4)債権の実現に深刻な影響を及ぼすその他情状。

第197 条  債務者が債務期限到来後も履行しない場合、若しくは当事者が約定した抵当権が実現する情状にある場合、抵当財産が人民法院により法に基づき差し押さえられるに至った場合、差押日から抵当権者は当該抵当財産の自然果実又は法定果実を受領する権利を有する。但し抵当権者が返済の法定果実の義務者へ通知しない場合はこの限りではない。前項に規定する果実は、果実を収受する費用に先に充てなければならない。第198 条  抵当財産の換価又は競売、売却後、その価格が債権金額を超過する部分は、抵当権設定者の所有に帰し、不足部分は債務者が弁済する。

第199 条  同一財産を2以上の債権者へ担保とする場合、抵当財産の競売、売却金額は次の規定に照らし弁済する。
(1)抵当権が既に登記された場合、登記の先後順序に基づき弁済する。順序が同じである場合、債権の割合に基づき弁済する。
(2)抵当権が既に登記されたものは未登記に先立ち弁済する。
(3)抵当権が未登記の場合、債権の割合に基づき弁済する。

第200 条  建設用地使用権を保証後、当該地に新たに増築された建築物は抵当財産に属さない。当該建設用地使用権に抵当権が実現される際、当該地に新たに増築した建築物と建設用地使用権は一括して処分しなければならない。但し、新たに増築された建設物所得の金額は、抵当権者に優先償還の権利はない。

第201 条  本法第180条第1 項第3 の規定に照らし、土地請負経営権の抵当の場合、又は本法第183条の規定に照らし、郷鎮、村の企業の工場建物などの建築物の占有範囲の建設用地使用権を併せて抵当とする場合、抵当権の実現後、法定の手順を経ずに、土地所有権の性質と土地の用途を変更してはならない。第202 条  抵当権者は主債権訴訟時効期間に抵当権を行使しなければならない。行使しない場合、人民法院は保護を与えない。

第2 節  最高額抵当権
第203 条  債務の保証を履行するために、債務者又は第三者が、一定の期間内で連続して生じる債権に対して担保財産を提供する場合、債務者は債務期限が到来しても履行しない、又は当事者が約定した抵当権が実現する情状にある場合、抵当権者は最高債権限度額内で当該担保財産の優先償還権を有する。最高額抵当権設定以前に既に債権が存在する場合、当事者の同意を経て、最高額の抵当担保債権の範囲内で譲渡することができる。

第204 条  最高額の抵当担保の債権の確定以前に、一部債権を譲渡する場合、最高額の抵当権は譲渡してはならない。但し当事者に別に約定のある場合はこの限りではない。

第205 条  最高額抵当担保の債権確定以前に、抵当権者と抵当権設定者は協議を通じて債権の確定期間、債権の範囲及び最高債権額を変更することができる。但し、変更内容は、その他債権者に対して不利な影響を生じさせてはならない。

第206 条  次の情状の1に該当する場合、抵当権者の債権は確定する。
(1)約定の債権確定期間が満了した場合。
(2)約定に債権の確定期間がない場合、若しくは不明確な場合、抵当権者又は抵当権設定者は、最高額の抵当権が設定された日から2年後に債権の確定を請求する。
(3)新たな債権が生じることがありえない場合。
(4)抵当財産が、差押さえられた場合。
(5)債務者、抵当権設定者が破産を宣告された場合、又は取消された場合。
(6)法律に債権の確定を規定するその他情状。

第207 条  最高額抵当権は本節の規定を除き、本章第1 節の一般抵当権の規定を適用する。

第17 章  質  権

第1 節  動産質権

第208 条  担保とする債務を履行するために、債務者又は第三者がその動産に質権を設定し債権者の占有とした場合、債務者が債務の期限が到来しても履行しない、若しくは当事者が約定した質権が実現する状況が生じた場合、債権者が当該動産の優先償還権利を有する。前項に定める債務者又は第三者を質権設定者とし、債権者を質権者とし、交付された動産を質権財産とする。

第209 条  法律、行政法規に譲渡を禁止する動産は質権を設定してはならない。

第210 条  質権を設定する場合、当事者は、書面の形式で質権契約を締結しなければならない。質権契約には通常次の条項を含む。
(1)被担保債権の種類と金額。
(2)債務者が債務を履行する期限。
(3)質物の名称、数量、品質、状態。
(4)担保の範囲。
(5)質物の交付日時。

第211条  質権者は債務履行期限満了以前に、債務者が債務期限が到来しても不履行の際は、質物が債権者の所有に帰すると質権設定者と約定してはならない。

第212 条  質権は質権設定者が質物を交付した時に設定する。

第213 条  質権者は質物の果実を収受する権利を有する。但し契約書に別に約定のある場合は、この限りではない。

第214 条  質権者は質権の存続期間に、質権設定者の同意を経ずに無断で、質物を使用、処分し、質権設定者へ損害をもたらした場合、賠償責任を負わなければならない。

第215 条  質権者は質物を適切に保管する義務を負う。保管が不適切なことにより、質物が毀損、消失した場合は、賠償責任を負う。質権者の行為が質物の毀損、消失をもたらす可能性のある場合、質権設定者は質権者へ質物の供託、若しくは事前に債務の弁済をし、質物を返還するよう要求することができる。

第216条  質権者の責任に帰することができない理由で質物の毀損や明らかな価値の減少を招く恐れがあり、質権者の権利に損害を与えた場合、質権者は質権設定者へ相応の担保を要求する権利を有し、質権設定者が提供しない場合、質権者は質物を競売、売却することができ、且つ質権設定者と協議を通じ、競売、売却所得額を事前に債務弁済又は供託することができる。

第217 条  質権者は質権の存続期間に、質権設定者の同意を経ずに、質権を譲渡し、質権財産の毀損、消滅を招いた場合、質権設定者に賠償責任を負わなければなら
ない。

第218 条  質権者は質権を放棄することができる。債務者が自身の財産に質権を設定し、質権者が当該質権を放棄した場合、その他保証人は質権を喪失した優先償還権の範囲内で、担保責任を免除する。但しその他保証人が依然として担保の提供を承諾した場合はこの限りではない。

第219 条  債務者が債務を履行した、若しくは質権設定者が事前に担保とした債権を完済した場合、質権者は質物を返還しなければならない。債務者が債務期限の到来後も履行しない場合、又は当事者が約定した質権を実現する状況が生じた場合、質権者は質権設定者と、質物の換価を協議することができ、質物の競売、売却などの所得額で優先償還することもできる。質物の換価又は売却は市場価格を参照しなければならない。

第220 条  質権設定者は、質権者が債務履行期限満了後、速やかに質権を行使するよう要求することができる。質権者が履行しない場合、質権設定者は人民法院へ質物の競売、売却を要求することができる。質権設定者が質権者へ速やかに質権を行使するよう要求する場合、質権者の権利の行使の怠慢により損害をもたらした場合、質権者が賠償責任を負う。

第221 条  質物の換価、又は競売、売却後、その価格が債権額を超過する部分は質権設定者の所有に帰し、不足部分は債務者が弁済する。

第222 条  質権設定者と質権者は最高額の質権の設定を協議することができる。最高額の質権は本節の関連規定を適用する他、本法第16 章第2 節の最高額抵当権の規定を参照する。

第2 節  権利質権

第223 条  債務者または第三者は処分する次の権利に質権を設定できる権利を有する。
(1)為替手形、小切手、約束手形。
(2)債券、預金証書。
(3)倉庫証券、貨物引換証。
(4)譲渡することができるファンド、株式権利。
(5)譲渡することができる登録商標専用権、特許権、著作権などの知的財産権における財産権。
(6)売掛金。
(7)法律、行政法規の規定に出資できるとするその他財産権利。

第224 条  為替手形、小切手、約束手形、債券、預金証書、倉庫証券、貨物引換証に質権を設定する場合、当事者が書面による契約書を締結しなければならない。質権は質権者へ権利証書が交付されたときから設定されたものとする。権利証書のない場合、質権は関連部門で質権設定の登記を行なったときに設定されたものとする。

第225 条  為替手形、小切手、約束手形、債券、預金証明書、倉庫証券、貨物引換証の現金化した日または貨物引き換え日に先に主債権が到来した場合、質権者は現金化または貨物の引き換えができ、併せて質権設定者と現金化した価格または貨物を引き換えた価格で債務を弁済する、または供託する。

第226 条  ファンド、株式権利で質権を設定する場合、当事者は書面による契約書を締結しなければならない。ファンド、証券の登録決算機関で登記した株式権利で質権を設定する場合、質権は証券登録決算機関で質権設定の登録をした時に設定されたものとする。その他株式権利で質権を設定する場合、質権は、工商行政管理部門で質権設定登録の手続きをした際に設定する。ファンド、株式権利に質権を設定後、譲渡してならない。但し、質権設定者と質権者で同意を経た場合はこの限りではない。質権設定者はファンド、株式権利を譲渡することにより得た所得額を、質権者へ事前に債務の弁済または供託しなければならない。

第227 条  登録商標の専用権、特許権、著作権などの知的財産権における財産権に質権を設定する場合、当事者が書面による契約書を締結しなければならない。質権は関連主管部門で質権設定登録の手続きをした際に設定されたものとする。知的財産権における財産権に質権を設定後、質権設定者は譲渡してならず、また他人に使用を許可してはならない。但し、質権設定者と質権者で同意を経た場合はこの限りではない。質権設定者は質権を設定した知的財産権を他人に譲渡する、または他人に使用させることにより得た所得額を、質権者へ事前に債務の弁済または供託しなければならない。

第228 条  売掛金に質権を設定する場合、当事者は書面による契約書を締結しなければならない。質権は貸付調査機関で質権設定登録を行った際設定されたものとする。売掛金に質権を設定後、譲渡してはならない。但し質権設定者と質権者で同意を経た場合はこの限りではない。質権設定者が売掛金を譲渡した金額は、質権者へ事前に債務の弁済をしなければならない、または供託しなければならない。

第229 条  権利質権は本節の規定を適用する他、本章第1節の動産質権の規定を適用する。

第18 章  留置権

第230 条  債務者が、債務期日が到来しても履行しない場合、債権者は既に合法的に占有している債務者の動産を留置することができ、且つ当該動産の優先償還権を有する。前項に定める債権者を留置権者とする場合、占有の動産を留置権のる財産とする。

第231条  債権者が留置した動産は、債権と同一の法律関係に属さなければならない。但し、企業間の留置の場合はこの限りではない。

第232 条  法律に定める、または当事者の約定に留置してはならないとする動産の場合、留置してはならない。

第233 条  留置財産が分割可能なものである場合、留置財産の価値は債務の金額と相応でなければならない。

第234 条  留置権者は、留置財産を適切に保管する義務を負う。保管が不適切で留置権財産が毀損、消失した場合は、賠償責任をおわなければならない。

第235 条  留置権者は留置財産の果実を収受する権利を有する。前項に定める果実は、先に果実を収受する費用に充てなければならない。

第236条  留置権者と債務者は財産を留置後の債務履行期限を約定しなければならない。約定のない場合若しくは不明確な場合、留置権者は債務者へ2 ヶ月以上の債務履行期限を与えなければならない。但し、生鮮物で腐敗しやすいものなど保管に適さない動産はこの限りではない。債務者が、期限を過ぎても履行しない場合、留置権者は債務者と留置財産の換価を協議でき、留置財産の競売、売却額を優先償還することができる。留置権財産の換価、または売却は市場価格を参照しなければならない。

第237 条  債務者は留置権者へ債務履行期限満了後、留置権を行使するよう請求することができる。留置権者が履行しない場合、債務者は人民法院へ、留置財産の競売、売却を請求することができる。

第238 条  留置財産の換価または競売、売却後、その価格が債権額を超過した部分は、債務者の所有に帰し、不足部分は債務者が返済する。

第239 条  同一の動産上に既に抵当権又は質権が設定され、当該動産が留置された場合、留置権者は優先償還の権利を有する。

第240 条  留置権者は留置財産に対して占有を喪失した場合または留置権者が、債務者が別に保証を提供したものを受け入れた場合、留置権は消滅する。

第5 編  占  有

19 章  占  有

第241 条  契約関係などに基づき生じた占有の場合、関連不動産または動産の使用、収益、違約責任などは、契約書の約定に従う。契約書に約定のない場合、または約定が不明確な場合、関連の法律の規定に従う。

第242 条  占有者が占有する不動産または動産の使用により、当該不動産や動産が損害を受けるに至った場合、悪意の占有者は損害賠償を負わなければならない。

第243 条  不動産や動産を被占有者が占有する場合、権利者は原物及びその果実の返還を請求することができる。但し、善意の占有者が当該動産や動産を保護するために支払った必要費用を支払わなければならない。

第244 条  占有不動産や動産が毀損、消失し、当該不動産や動産の権利者が賠償を請求する場合、占有者は、毀損、消失により得た保険金、賠償金または補償金などを権利者へ返還しなければならない。権利者の損害が補充に足りない場合、悪意の占有者は損失を賠償しなければならない。

第245 条  占有不動産や動産が侵奪された場合、占有者は現物の返還を請求する権利を有する。占有を妨害する行為の場合、占有者は、妨害を排除する、若しくは危険を除去することを求める権利を有する。侵奪または妨害により損害が生じた場合、占有者は損害賠償を請求する権利を有する。占有者の現物返還の請求権は、侵奪が生じた日から1 年以内に行使されない場合、当該請求権は消滅する。

附  則

第246 条  法律、行政法規に不動産の統一の登記範囲、登記機関と登記方法に対して規定を制定する以前、地方性の法規は本法の関連規定に照らし規定を制定することができる。

第247 条  本法は2007年10 月1日から施行する。