昨年、弊所は、中国製薬企業トップ10にランクインされたある大手製薬会社の代理人として、有名なグローバルバイオ製薬会社のリポソーム製剤に係る2件の発明特許に対して、無効審判を請求した。近日、国家知識産権局は、進歩性欠如を理由として全部無効とする審決を下した。このリポソーム製剤は、世界で膵臓癌を適応症として承認されたもので、米国における売上は2022年に約1.6億ユーロに達し、中国市場でも10億元を突破すると予想される。係争特許を無効とすることにより、中国国内のジェネリック医薬品の発売にとって、障害が取り除かれたと言える。

無効審判請求書の作成において、弊所弁理士はクライアントと、係争特許に係る発明に対する理解、特許無効に関わる法律規定や無効理由の選択、証拠の収集や活用、対照実験のデザイン等について討論し、十分なコミュニケーションが取れた。また、係争2件の特許の技術内容が複雑なので、クライアントに技術的サポートを十分にもらった。

無効審判請求書において、当方は係争特許及び証拠を十分に研究した上で、係争特許が特許法第26条第3項、第26条第4項、第22条第3項と特許法実施細則第20条第1項の規定に合致していないことを無効理由として主張した。

口頭審理に先立ち、弊所弁理士はクライアントと、係争2件の特許について、口頭審理で指摘される可能性のある問題点及び答弁の戦略を議論した。そして、製造方法または組成・構造関係が製品の物理的・化学的特性に重要な影響を及ぼすという争点を分かりやすく説明するために、係争発明と技術的効果を図面で示した。

無効審決において、合議体は明細書に記載された実施例を詳しく研究・分析した上で、当方が主張した進歩性欠如の無効理由を認め、最終的に証拠1及びその他の証拠の組み合わせに進歩性がないと認定した。