ポイント:係争商標の識別力は標識全体の構成要素と意味で判断し、区切られた語根解釈の組合が固有の意味を有することを認定根拠にしてはならない。
 
5月、弊所が代理したフランスのある著名ブランドの商標拒絶査定不服審判審決取消訴訟が最高裁判所に支持された。最高裁判所は一審と二審の判決、及び国家知識産権局の拒絶査定不服審判審決を取消し、国家知識産権局より改めて審決を下すようと判決した。

係争商標が英文商標であり、国家知識産権局、一審裁判所及び二審裁判所は係争商標が区切られた後、前にある3つの英文字は「生物」、後ろにある5つの英文字は「ダーマル」、両者の組合せは、「生物ダーマル」と翻訳できると判断した。そこで、係争商標を「医薬品製剤、スキンケア薬剤」などの商品に使用する場合、製品の原材料、機能と用途などの特徴を直接に現すことになり、2013年商標法第11条1項2号の規定に該当すると同時に、「医療用サプリメント、ビタミン製剤」などその他の商品に使用することは関連公衆に商品品質について誤認を生じさせることになり、商標法第10条1項7号に該当すると判断した。

弊所は代理人として、係争商標の「医薬品製剤、スキンケア薬剤、皮膚疾患治療薬製剤」の三つの指定商品について、最高裁判所に再審を提起し、下記2点を主張した。

1.係争商標は出願人による造語であり、英文の固有語彙ではなく、商標全体としては特に意味がない。指定商品「医薬品製剤、スキンケア薬剤、皮膚疾患治療薬製剤」の機能と用途に対する説明ではなく、関連公衆に商品の特徴について誤認を生じさせることはない。中国の関連公衆は係争商標を識別する時、二つの部分に分けて識別することがなく、英辞書に「生物ダーマル」と翻訳されたこともない。中国国内の関連公衆の常識では、係争商標は意味のない造語である。

2.係争商標は長期にわたって大量に使用・宣伝され、中国市場で既に高い知名度と影響力を確立し、出願人と唯一且つ安定した対応関係を形成できたことから、商品の出所を区別する役割を果たすことができ、商標として登録できる。

最高裁判所は当方の主張を支持すると同時に、係争商標の識別力は、標識全体の構成要素と意味に基づいて判断し、特定の要素を機械的に区切って判断してはならないと指摘した。係争商標は事実上、すでに商品の出所を識別、区別する役割を果たしたので、原審裁判所の2013年商標法第11条1項2号の規定に該当するという認定には事実と法律根拠がなく、是正すべきであると命じた。