2021年、広東省市場監督管理局(知識産権局)は初めて知的財産権行政執法代表事例の選出を行った。市レベルの市場監督管理局(知識産権局)の積極的な推薦、管理局の内部選出、業界の専門家による採点や総合的な評価を行った結果、25事例は広東省市場監督管理局2021年知的財産権行政執法の代表事例として選出された。そのうち、商標権と特許権の侵害事件はそれぞれ10件で、他の知的財産権行政保護事件は5件、いずれも2022年4月25日に公表された。また、弊所が代理した「コイン検査装置」発明特許権侵害紛争事件は特許権侵害行政執法代表判例10大事件に選定された。
 
当該案件において、弊所は請求人を代理し、被請求人の行為が発明特許権侵害に該当すると主張して、東莞市市場監督管理局(知識産権局)に被請求人に対して被疑侵害製品の製造と使用の停止、被疑侵害製品の情報が含まれるカプセル製品の宣伝資料の廃棄と関連ネットサイトにおける販売の申し出の情報の削除、また被疑侵害製品を製造するための専用設備、金型と被疑侵害製品の在庫品を廃棄するよう命じることを求めた。2021年4月5日、東莞市市場監督管理局は立案(受理)し、弊所の代理人の協力で実地検証を行ったところ、被請求人の会社現場で被疑侵害製品を大量に発見した。2021年5月19日、東莞市市場監督管理局は当事者双方に通知して口頭審理を行い、また東莞市知識産権紛争調停委員会の「無利害関係」専門家調停委員を誘って、傍聴させた。口頭審理が終わった後、直ちに現場での調停を行った。結局、東莞市市場監督管理局のプロの調停及び当方の有力な証拠、プロの主張と被請求人の答弁意見に対する有力な反論の下で、被請求人は和解することに同意した。最終的に、当事者双方は現場で係争特許、その他の2件の特許権侵害紛争、そして当事者双方の商標・著作権などの他の知的財産権紛争をめぐって初歩的に「一括」の和解協議書を締結した。
 
本件では、請求人は特許権侵害行為の差し止めという最初の目的に達成しただけでなく、著作権紛争と商標、ドメインの紛争をも一括解決し、権利保護のコストを大いに節約した。