2022年全国知的財産権宣伝ウィーク始動にあたり、深セン市中等裁判所は深セン裁判所の知的財産権司法保護と裁判改革の革新成果を充分に展示するために、2021年度深セン裁判所の知的財産民事行政代表判例を公表した。そのうち、弊所が代理した原告である某会社が被告である平陽県某会社と深セン某会社を訴えていた意匠権侵害事件は選出された。当該事件は、深セン裁判所の初の知的財産権訴訟「文書提出命令」の裁定であり、また深セン裁判所が知的財産権証拠規則を模索し完全化させる代表判例でもある。

当該事件において、弊所は原告の代理人として、被告が表情筋トレーニング器製品の生産・販売・販売の申出行為は原告の意匠権を侵害したことを主張し、被告に対して権利侵害行為の差止め、原告に経済的損失及び合理的支出計320万元の賠償金を支払うよう命じることを請求した。

本件において、2017年下半期の末頃にアリババと淘宝(タオバオ)のECプラットフォームで大量の被疑侵害製品が現れてきた。原告は2017年11月から上記プラットフォームで大量の権利侵害クレームをしたが、被告は関連リンクを削除した後にすぐ新しいリンクを立ち上げて販売し続けた。また、被告は製品ページに外観写真を故意にアップロードしなかったため、原告の権利保護に支障をさらにきたした。また、販売リンクが削除された後、原告は関係製品の販売量に関する情報は客観的に入手しにくくなった。

弊所は原告の依頼を受けて当該事件を代理した。公証付きで購入するなどの証拠保全をした後、深セン市中等裁判所に訴訟を提起し、立証期間終了前にECプラットフォームにあるすべての販売データの取寄せ、そして被告に被疑侵害品のネットでの販売状況に関するすべての電子データ、オフラインの実店舗での販売状況に関する真実な会計帳簿及び売買契約書・出荷証明書・領収書、そして被疑侵害品のコストと販売利潤に関する真実な会計帳簿及び金型と原材料購入の契約書と領収書などを提供するよう命じることを申請した。

開廷審理において、当事者双方は文書提出命令をめぐって意見を発表した。被告は被疑侵害品の生産・販売を否認し、当方は被告の権利侵害行為の高度の蓋然性を立証・説明すると同時に、権利侵害の持続時間が長くて販売量が多いそして主観的悪意が明らかであることを強調した。

開廷審理後、裁判所は当方のECプラットフォームにおける販売データの取寄せ申請を認め、2021年5月26日に杭州アリババ広告有限公司(以下アリババ)、浙江淘宝網絡有限公司に「証拠取寄せに関する協力通知書」を発行し、二つの被告であるアリババ店舗で販売された被疑侵害品の発売時間、販売データ、製品の図面をリンク・商品番号・クレーム番号付きで取寄せた。アリババはクレーム資料と店舗最近三年の販売データを提供した。

弊所は既存の証拠と取寄せたデータに基づき、被告の侵害利益は当方が主張した賠償額を大きく上回っていたことを立証証明し、また被告の所持する文書の提出を求める裁判上の開示命令の必要性を再度強調した。

すなわち、アリババは三年前の販売データを提供できなく、かつ被疑侵害品が多くの店舗とプラットフォームで販売されているため、実際の販売量と販売利益は全部被告に把握されている。もし被告より関係文書を提供しなければ、被疑侵害品の販売量と利益状況を究明できず、侵害利益が法定賠償額の上限を上回るかどうかも確定できない。そのため、関係文書は関連事実の究明と裁判の結果にとって非常に重要である。

深セン市中等裁判所は弊所の文書提出命令の請求を認めて裁定を下し、被告である平陽県某会社に関連文書の提出を命じた。その後、被告は正当な理由なく、関連文書の提出を拒んだため、裁判所は弊所の証明事項に関する主張が成立したと推定した。

最終的に、裁判所は原告が権利侵害により受けた損失、被告の侵害利益及び権利侵害行為の性質、情状などの要素を総合的に考慮して当方の損害賠償請求を全額で支持して、二つの被告に経済的損失及び合理的支出計320万元を支払うよう命じた(本件の判決はまだ効力を生じておらず、現在二審審理中)。