近日、弊所が代理したあるブランドの商標拒絶査定不服審判審決取消訴訟案件は一審で勝訴した。一審裁判所は国家知識産権局の拒絶査定不服審判審決を取消し、国家知識産権局に原告より提出した商標拒絶査定不服審判について改めて審決を下すことと命じた。
 
本件において、係争商標が「Nano」を含むアルファベット商標であり、国家知識産権局は、「提出された本件商標がアルファベット商標であり、且つ一般大衆に2つの部分に区切って識別されることは容易である。また、「Nano」は「ナノテクノロジー」 と訳すことができ、もし商標として「二酸化マンガン、酸化ニッケル」などの商品に登録・使用される場合、関連公衆に商品の技術、効能などの特性への誤認を生じさせる恐れがあるため、商標法第10条第1項第7号の規定に該当する。」と判断した。
 
出願人はその決定に不服として、弊所を依頼し、北京知的財産裁判所に審決取消訴訟を提起した。訴訟段階で、弊所は代理人として、係争商標が分割できない造語であり、一般公衆がその生活経験に基づいて、係争商標を2つの部分に分けて識別することがなく、また、関連公衆は「Nano」という言葉に詳しくないため、ナノテクノロジーの意味を連想したり、係争商標の指定商品の技術特性を誤認したりすることもないと主張した。そして、弊所の見解をサポートするために、類似の裁判例や、類似の区分で登録した「Nano」を含む商標を数多く検索した。
 
一審裁判所が、「係争商標は外国のアルファベットからなり、当該アルファベットの組み合わせは固有の意味がない。中国の関連公衆の一般的な認識レベル及び認識習慣からみれば、係争商標を全体として判断する場合には、ナノテクノロジーに関する意味として理解することは容易ではない。そこで、係争商標を二酸化マンガン等の商品に使用することは、関連公衆に商品の技術、効能等の特性への誤認を生じさせやすくないので、商標法第10条第1項第7号の規定には該当しない。訴えられた審決に誤りがあり、是正すべきだ。」と認定した。